「サブスク」はネトフリだけではない
「サブスクリプション」と聞いて、多くの人はNetflixやSpotifyなどを思い浮かべるだろう。しかし、現代の資本主義において「サブスク」の罠はもっと広大で、もっと巧妙に私たちの生活に根を張っている。
少し自分の身の回りを計算してみてほしい。
ChatGPTなどのAIツール(これもサブスク)、ESETのようなセキュリティソフト(月475円等の月額枠)、ブログを運営するためのレンタルサーバー(シン・レンタルサーバーなど)や独自ドメイン代。さらに、TikTokでお気に入りの配信者を応援するためのサブスク枠や、毎月コツコツ課金しているスマホゲーム。
もっと言えば、物理的なものすらサブスク化している。毎月欠かさず飲んでいるビタミンCや亜鉛などのサプリメント。定期的に買わざるを得ない以上、これは「サプリ一種類につき1つのサブスク」を契約しているのと同じだ。
タバコ、酒、ラーメン。日常に潜む「高級サブスク」
視点を広げてみよう。「嗜好品」こそが、実はこの世で最も恐ろしいサブスクである。
たとえばタバコ。1日1箱吸う人なら今では1箱600円以上、つまり「月額約2万円の高級サブスク」に加入している計算になる。
しかもコンビニで買うついでにコーヒーやお菓子まで買ってしまえば、その見えない出費はさらに膨れ上がる。
私はいつもサブスク的な何かを買う時などは、DMM TVの月額550円と比較する癖がある。
タバコなんて1箱600円以上だから、タバコを1箱買っただけで「1日でDMM TVのサービス1ヶ月分を消費している」ようなもんだ。
月550円でアニメやらグラビア動画やらを見まくれるのと比べると、タバコたった1箱にそれとほぼ同額の価値があるのだろうか。
(いやない。そもそもDMMの方が安いし、20年前のタバコの値段は今の半分の300円やそこらだ。この時点で今のタバコは法外に高い)
毎日晩酌をするお酒の習慣も同じだ。外へ飲みに行く人ならもっと高くつく。
「月1回は絶対に行くお気に入りのラーメン屋」ですら、実質的には「月額1000円のラーメンサブスク」に加入しているようなものである。
「フリーミアム」という巧妙すぎる罠
企業側の戦略はさらに狡猾だ。彼らは最初から料金を取るような下手は打たない。 代表的なのがGoogleアカウントだ。最初は15GB(Gmail、ドライブ、フォトで共有)まで「無料」という餌で囲い込む。そして何年も使わせ、「もうこれなしでは生活も仕事も回らない」という状態になった絶妙なタイミングで容量オーバーにさせ、有料のサブスクへと引きずり込む。
最初から有料なら見向きもしないものを、途中から有料化することで「意地でも払いたくないが、払わざるを得ない」状況に追い込む。本当にうまく考えたものだ。
有名なメモアプリ「Evernote」もかつてはこの手法で覇権を握ったが、あまりにも度重なる改悪と強引なサブスク化により、多くのユーザーが離脱した。私は早々に見切りをつけ、4,000〜6,000円程度の「買い切りプラン」が存在する「UpNote」へと脱北した。毎月少額を吸い上げられ続けるくらいなら、最初に一括で痛みを伴うほうがマシだからだ。
我々は「サブスクを維持するため」に働いている
こうした「一回あたりの値段が安く感じる」巧妙な心理トリックにより、私たちの銀行口座には無数のストローが突き刺さっている。
冷静に考えてみてほしい。いくらお金があっても、これらに課金し続けていれば一生足りることはない。
最初は「せめてスマホ代(これも最凶のサブスクである)だけでも稼ぎたい」という純粋な動機で、ポイ活やアフィリエイトを始めた人も多いだろう。しかし今や、増え続ける数多のサブスク(固定費)を賄うために、必死に広告をタップし、記事を書き、ポイ活を頑張っているという本末転倒な状態になっていないだろうか。
かつての小作農は、年貢を納めるために毎日畑を耕した。現代の私たちは、企業に「月額料金(サブスク)」という名の年貢を納めるために、今日もせっせと労働とポイ活に励んでいる。我々は現代版の小作農なのだ。
すべてが「悪」ではない。本当に有益なサブスクの条件
サブスクを全否定するわけではない。以下のように「圧倒的なメリット」や「ミニマリズム」に合致するものは、喜んで年貢を納める価値がある。
- 競馬新聞(東スポWEBなど):
月額550円なので、毎週末に紙の新聞を買うより圧倒的にお得(1部180円×4週=最低でも720円、金土両方買えば1440円)。スマホで完結するため、読み終わった後の新聞を処分する手間が省け、「モノを極力減らしたい」というサバイバル哲学にも合致する。 - Amazonプライム:
送料無料+最速配達に加え、動画配信までついてくる。買い物をAmazonに依存している人間にとっては破格。ただし、私のような「楽天経済圏」の住人は、楽天ポイントの誘惑との間で常に葛藤することになるが……。
生き残るための「見直し(断捨離)」サバイバル
資本主義の罠から抜け出す方法はただ一つ。自分の生活にこびりついている「見えないサブスク」を定期的に棚卸しし、容赦なく断捨離(解約)することだ。
- 物理的・嗜好品のサブスクを疑う: そのサプリ、その毎日のタバコ、本当に必要か?まとめ買いや、頻度を落とすことはできないか。
- 「買い切り」へ逃げる: EvernoteからUpNoteへ逃げたように、長く使うものは月額の幻覚から抜け出し、一括払いで流出を防ぐ。
- 見栄を捨てて「スマホ代」を削る: もっとも手っ取り早いのがキャリアの見栄を捨てることだ。「ハイブランドな大手キャリア」という幻想は捨て、格安スマホ(楽天モバイルなど)に乗り換えるのがサバイバルの基本中の基本である。
便利なサービスは確かに生活を豊かにする。しかし、無自覚なサブスクの肥大化は、確実にあなたの「生きる余裕」を奪っていく。
ポイ活の目的は、サブスクの地主に年貢を納め続けることではなく、自分の人生の自由度を上げることだったはずだ。今一度、自分の銀行口座に何本のストローが刺さっているのか、点検してみてほしい。