帝國の歴史
1970年代
ポポン.jrはごく一般的な家庭に生まれる。その柔らかできれいな髪がポポンの一番の自慢で 、明るい眼差しをしたポポンは明るい未来に向かって、何を恐れることなく、すくすくと育つ。
1980年代
ポポンの人生は思った通りに進んだ。中学生の頃、いいな、可愛いな、と思った女の子は 、決まってポポンのことを好いた。同じ班になりたい、近くの席に座りたい、とポポンが願えば実際にそうなった。なんでも結構、上手くいくので今後の長い人生を考えれば、これは不利に働くことだったかもしれない。
しかしそれは長くて一年程度のことだった。それからのポポンの人生はどんどん下降してゆく。自分は母親似だと思って安心していたのに、実は父親似だと気付き、絶望したのもこの頃のこと。更には、自慢の柔らかな髪も硬く、太く変化していく。ポポンは今後のことに対する漠然とした不安を覚える。自分はもしかして神に見放されてしまったのではないか。
1990年代
どんどん臆病になっていくポポン。赤面したり、顔がひきつったり、オドオド、ドギマキするので、人と触れ合うことを避けるようになる。それでもどうにかストレートで中、高、大と進み、大学もすんなり卒業はする。しかし 、その間、何事にも逃げてばかりいたポポンは、アルバイトすらせず(1月ほど流れ作業のアルバイトを友人としたことがあるくらい)、家と大学との往復で、この頃からすでにひきこもり体質であった。
学生時代のポポンは、一緒にご飯を食べる人がおらず、たいてい昼ごはんは食べず 、図書館で本を読んでいた。この頃、ようやく読書の面白さを知ってしまったわけだ。
1997年
ポポンの家にパソコンがやってくる。初代はMacだった。エッチなサイトばかり見ていたが、出会い系サイトで、ある女の子と毎日のように長いメールのやり取りをしていた。けれども 、当時、ピュアすぎたポポンは、その子と実際に会うことはなかった。
2001年〜2006年
ポポンという男は、何事も時代の最先端を走る男のようで、ひきこもりが社会問題になる前(大きく取り上げられるようになる前)からのひきこもりだった。卒業してもずっと家にいることを心配した母が 、ある資格試験の取得を勧め、なんとなく予備校に通い出す。この頃、背の高く、可憐な花の咲いたような教務員さんに恋をし、詩を書きはじめる。試験には落ちる。また空白期間ができる。もうどうしようもなくなる。思い切って会社を受ける。なぜかいきなり採用されるも一年ももたずクビに。また空白期間ができる。もう本当にどうしようもなくなる。
2007年
ポポンはネットばかりしていたのでネットサーフィンは得意でも、その他のことはてんでダメだった。つまり特に何もスキルがなかったのである。確かに 、一時チャットにハマったため、そのタイピング能力は上がったが、パソコンスキルは初級レベルだった。ブログにも早くから手を出してはいたが 、特にカスタマイズを施すこともなく、また、できず、多くは陽の目を浴びることなく沈んでいった。
もはやリアルでの成功を望めないポポンに残された道は、ネットでなんとか生きる糧を掴むことだった。親はもうあきらめの表情をしていた。ポポンは人に迷惑をかけるのだけは嫌だった。ポポンはネットで何かを作り出したくなった。いや作り出さねばならなかった。そこで手を出したのがHP(ホームページ)。
この制作のために就職活動からも遠ざかり、より一層、厳しい状況に自らを追い込むポポン。もはや正気の沙汰とは思えなかったが 、ポポンの意気込みが功を奏したのか、どうにかHPを立ち上げることに成功。当時のタイトルは「ネットウィル ネットバイト.com」だった。
2009年
2009年10月、サイトをプチリニューアルし、ポポンSXとして「ネットバイト帝国 ネットウィル」の初代皇帝となる。庶民出身の皇帝は初めてのことだった。庶民の目線に立ち 、弱き者をひいきしながら、ポポンSXは今日も帝国の運営を続けている。